昨年開催されたPHILLIPS Watch Auction XVにてリストされていたロットナンバー849、1964年製の金無垢デイトジャストの同個体が入荷です。
この年式のダイヤルは勿論ミラーであることから、ステンレス同様にコンディションの優れた個体を探すのは近年非常に困難になってきました。今回のように出所がオークションハウス、それもフィリップスとなればこのような普通には流通しないバリ物や珍しい個体に出会うことはまだ可能かもしれません。しかしそれでも以前のように「お金さえ払えば何でも手に入る」状況では確実になくなってきているように感じます。
勿論エイジングが進んだ時計にもより一点物としての魅力や経年による迫力がありますし、おそらく今後はビンテージ市場の変化に伴いそこも開拓される付加価値になっていくと思われますが、抜群に綺麗なダイヤルを持つ個体には格別なオーラが宿ります。そして何よりそのオーナー自身からこの良いことばかりでは決してないビンテージウォッチの世界とどれほどの時間を向き合い、奮闘し、掴み取った個体であるかを感じられることが、愛好家目線として魅力的に思うのです。
金無垢のデイトジャスト、それもミラーで入荷しました。
昨年ステンレスの1601を1本販売していますが、ダイヤルは同じタイプですね。
1963年頃に製造されたシングルスイスの両脇から「T」を後入れ(それもなぜかシルバープリントで)しているイレギュラーな仕様を持つスモールロゴの1601。1964年製。

写真では殆ど分かりませんが太陽光など強い光の下ではアンバーのようなブラウンへと変化していることが見て分かります。
まだらな感じであったりブラウンダイヤル特有のポツポツしたような経年感も見られず、さらに夜光も全て残る(一部トップにのみ欠け有り)極上の状態を約60年間キープしてくれました。

ブレスは私の方で用意しています。本来は20mmのジュビリーですが、金無垢に限らず昔から好きなのがこの16~17mmのストレートエンドブレスレット(バー部分はフィット管を着用)。
1940~50年代くらいの、当時ROLEXのブレスを製造していたメイカーのオリジナル。
そしてこのブレスは9k。イギリス製の9k。
この時代のイギリスの貴金属全般に言えることなんですが、9kなのに色がだいぶ濃い。それが酸化し金錆までしてる。


↑ちなみにオークションでリストされていた時は革ベルト。勿論こちらも付属しますし、カタログもお付けいたします。
今回はたまたま出所がオークションでした。なので考え方によっては「オークションハウスが認めた、隙の無い個体である証明」になるのかもしれません。

ケースサイドに刻印されたシリアルをwebで打ち込めば詳細だって出てきます。しかし逆を言えばスムースベゼルのケースやサンダーのケースに入れ替えたりはもってのほか、アクシデント時の針夜光修正ですら難しい、要は「カタログと違うじゃん」が許されないという制約が生まれてしまうんですね。
そういうことも含めて、ご満足いただけそうな方はご連絡ください。丸の内に新設したショールームもまだ備品など用意しきれてないのですがプレオープン中です。↓をお読みいただいて来店を希望される方はご予約くださいませ。