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Matt Codina from 1930s

ラスベガスを拠点に活動をするTHE BLUE RIBBON BOYSのメンバー、マットさんの自宅へ。

ベガスのあのパワフルなネオン街から少し離れたエリアにある静かな住宅街。へー、こんなところあるんですね。というか、ベガスって人住んでるんですね。当たり前ですが。それくらい違和感がある。静かすぎて。

プップッとクラクションを鳴らすとおはよう!って出てきて早速家の中へ。

広い一軒家にひとりで住んでて、2階の一室がご覧のように仕事場になっています。彼はザ・ブルーリボンボーイズの活動とは別に、レザー製品を手掛けるクラフトマンでもあります。(カメラを向ければご覧の出立ち。慣れてる)

ブルーリボンボーイズとは1950年代頃のロカビリーサウンドを音楽だけでなく、まるでミュージカルのようなパフォーマンスであったりそして衣装であったり、完璧なまでにその時代を演じているグループ。
そこでマットさんはメンバーが身に着けるギターストラップやピックガード、ベルトなどを1930年代のウエスタンスタイルで製作しているという。そのクリエイションはまさに病的です。完璧なまでにあの時代の、さらに言えばその時代のどのクラフトマンよりもきっと丁寧。病的なまでの完璧主義者。この言葉に尽きるでしょう。

こちらがこの度入荷する、6月にオーダーしていたベルト。写真で見るとゴツイが実はけっこう細目。凄味があるからゴツく見えてる。
デザインは30年代のウエスタンベルト。彼はパーツのコレクターで、ありえない数の当時物のバックルやスタッズをコレクションしています。今回取り付けてくれたバックルとストッパー(?)は30年代のデッドストック。
このフロントのみテーパーするシェイプと、全面に入った花柄の紋久(そう呼びたくなる)は、実際に30年代に存在し得るデザイン(辻褄が合う)だから美しいとのこと。
言っていることがあのニューヨークのデニムの人と一緒ですね。

で、上のこの手は「ちょっとまだ撮らないで」って言ってるところ。

並べ方、あるんですって。丁寧に置いたり、わざとバラバラッてラフに置いたり、ずっとやってるんですよ。

キマったら、自分のカメラで撮りだした。ちなみにカメラのコレクターでもあります。(そのコレクションも凄かった)
前回会った時に勿論もう感じてはいましたけど、根がオタクなんですよね。それも先天性なタイプの。

それで、この柄綺麗ですねって話になって、そしたら「まじでイカれた作業だったよ」って言って、そのへんにある革の上でなんかトントンしだした。

そしたらその革にいつの間にか小さな模様が出来てて。え、ちょっと待ってこのベルトの紋久全部手でやったの?って聞いたら全部手で掘ったんですって。えーってまじまじ見ようとしたらこれが早いよってバズーカみたいなレンズ渡されてそれを僕のカメラにつけられて撮りだした。

確かに見やすい。スタンプじゃなくてほんとに手らしいですよ。これは驚いた。たしかにカービングの職人さんは何人か知ってますけど、ここまで細かくて影が入ったように見える流れるような凹凸感だったり、下書き無しの一発勝負にしてはちょっと出来すぎてる感じがするというか。

でもほんとに彼がやってた、全部。ひとりで。

1から5は全て異なる道具。6は秘伝のタレみたいで、自然な”無色に染めれる”んだって。

これは細かいですね。そりゃあギターも上手いよなって思った。

1930年代のカタログ。こういうカタログを見ながらどういう柄にどのタイプのパーツが付けばいいのかとか、勉強するんだそう。

この資料はスタッズオンリーのよりコアなやつ。当時のスタッズを打つマシンと、スタッズのサイズ表ですかね。手に入れたスタッズがどの時代のものでどの型番になるのか突き止めるのに便利だという。大丈夫かこの人。

打つとこ見せてあげようかってなってガレージへ。

これそのカタログのやつやんけっていう。目に見えるデザインだけではなく、そのプロセスも一貫してその時代と同じ道具を使用した作り方に拘るこの男。

でもやっぱり一番痺れるのは、それら全ての行為はザ・ブルーリボンボーイズのブランディングやパフォーマンスの精度を上げるためなんだという。私はこういう瞬間にリアルというか真実味と、贅沢だったり鋭さだったり、本当のかっこいいって何だったっけ?って思い出させられる。いるとこにはいるんですね、今も。夢の中を歩いている人。あ、だからベガスに住めちゃうのか。

ちなみにもう一つ、入荷がある。これは私のリクエストというか出来心というか。

まず私はこれまでお財布を持ったことが子供の時から殆どないんです。でも一度だけ、本当に壊れるまで使ったお財布(?)がある。それはフランスのマリア・ルドマンさんという女性に10年前に作ってもらった「Poket」という革と革をただ張り合わせただけの、お尻のポケットにちょうど収まる革のポッケ。仕切りも無くて、お金もカードもレシートもパスポートも全部そのポケットに入れて生活してた。そして何年かしたら破けた。

で、それをヒントに、マットさんに伝えて作ってもらった。

すご。いちいちクオリティが高い。
モチーフは後ろに写ってるオリジナルの30年代のベルトの柄。外周のスタッズも当時物。ベルト同様に勿論手彫り。立体感が凄いですね。裏面は何もしてないフラットな革です。
これがちょうどよく、気持ちいいくらいちょうどよくお尻のポケットに収まるんですよ。

そして最後に嬉しいことを言ってくれた。この全手彫り、本当は普段やっていないそうなんです。普段はスタンプで、その上にちょっと付け足すくらいなんだとか。でもぜったい感動させてやりたい相手には本気のパフォーマンスをするのがマット流だと言っていた。それはショーパフォーマンスも同じなんですって。
そしてそういうまじになる時だけミドルネームに「クレイジー」が入るとも言っていた。

ベルトはサイズ32 , 34 , 36。49000円+税。
ポケットは41500円+税。
メイド・イン・ラスベガス。

今お店がお休みなので通信販売のみでお願いしています。メールからお問い合わせください。

この日から私はセーターでもなんでもタックインすることに決めた。そしてポケットは大人なジャケットに入れて使う。

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