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Western Classics

現在、カリフォルニアから車で何日もかけてテキサスを目指しているんですが、どうせ内陸の方へ、要は今でもアメリカンクラシックが残る場所を通るのだったらと、先日思いつきでフェニックスに寄ってみました。
今特別探してるものは無いんですけど、やっぱり今のノリ的にもウエスタンブーツとか、またそういうのもうまくやれば悪くないわけで、でも履きたいわけでは全然なくて。だから例えばああいう燃えてるようなパターン?とかシュッシュッって入ってるステッチとかあるじゃないですか。ああいうならではなアイコンがそれこそ全然ブーツ関係なくないですか?みたいなものに混ざってたら面白いのかな、と。でもこれは全然まじじゃなくて遊びの感覚ですので、なんか材料に使えるかなとこれ買ってから向かいました。

ビルケン。前回エルイースのときもそうでしたが、もう困った時のとりあえず答えとくみたいな使い方になってますけども。

ロスを出て1日後、ちょっと物騒そうな場所ですが着きました。オーダーメイドオンリーの老舗ですねここは。佇まいからして匂いません?ファッションとは全然違う部分での品質を提供していそうな、土着感が渋いというか。
左手前に売り場。左奥にトイレと事務室。右は全て工房。最近、外観を見ただけでそういうのが分かるようになってきてる。

入店するとなまりの強い英語で出迎えてくれたオーナー。どうでしょう。この裏切らない佇まい。
スペシャルオーダーがどうとかの前にまずはやっぱり礼儀として、というか普通に興味ありますんで、アトリエを見学させてもらうことに。それでウマが合ってはじめてそういうことになる時はなる、そんなもんだと思うんでやっぱり。

オーナー自ら案内してくれた。ここで彼ら職人たちは今どのパートを作っていて、それらがどういう手順で組み上がっていくのか。ほんと丁寧な物腰で教えてくれるんです。

いいね、いいですね。ファッションのためにというよりもっと他に、遥か手前に、あるでしょうよ、かっこいいってやつは。っていうか。そういう純粋な信念でやってる感じが久しぶりで心地よかった。

中でもやっぱり一番見たかったのはここじゃないですかね。

パンチングで細かいドットが描かれた原型をレザーの上に置いて、上から白い粉をまぶすことでドットの跡だけが下書きのようになるという。そしてその上をミシンでなぞるわけです。
これだ。これじゃないですか?サンダルへの道筋が見えた気がした。

で、この職人さん。訪問がすごい嬉しかったのか、色んな道具を使ってその場でデモンストレーションみたいなのをやってくれた。ノリもいいから、隙をみて「ビルケン持ってきてるんだけどカスタムしてくれない?」って言ったら全然いいよっていうか今やるよって感じで、自分のアイデアを説明したらそれクレイジーって盛り上がり始めたんですが、その状況を見たオーナーがストップをかけて私を別室に連れていった。

ここのオーナーは俺で、彼らは俺が雇っている職人なんだ、と。でも彼はやりたがってるよって言ったんですが、じゃあ一体どこで作るんだ?って。ここにある高額な機械は全部俺のだからパーソナルなことだったら使わせられない、と。彼らに言いたいことがあるならまず俺に言えと。
この生徒指導室に呼び出された感、なんだろう。でも私は学生じゃないのでその傾き切った天秤の片方にクレジットカードを置いた。ビジネスしよう、と。(一足だけなんだけども)

そしたら、ふーってため息付いたあと「俺もかつてサンダルを作っていた時代があるよ、大昔に」とゴソゴソ段ボールの中から何かを出そうとした。

これは経験上、くる。くるサイン。とびきりがくるサイン。

あー、分かるけどなんか違う。違いました。
で、結局今はお客さんからのブーツのオーダーが溜まっていてとてもじゃないけど力を貸せない、とのこと。
でも「ここはアメリカだ、探し物はきっと見つかる」みたいなかっこいいこと言って、いつのか分からないカタログ(俺達ウエスタン野郎、みたいなタイトル)の広告ページを見せてくれた。

「ここは多くの職人が出入りをする店だ。声をかけたらきっと力になってくれる。その際には俺の名前を言うといい」と親切に紹介してもらえました。やっぱり最後まで見た目を裏切らない、ポジティブなプライドがあるかっこいいオーナーでしたね。

車に戻りその場所へ向かうとそこは、

えーと、なんか想像してたのと違う。すごい言い方があれですけど、ハンズ、的な。

で、店員さんに彼の名前を出して職人さん探してるって言ったらまず「アイドンノウヒム」で「職人ならそこだよ」ってレジ横のボードを指さした。

あー、なんて言うんでしたっけこういうの。とにかく、職人さんとかメイカーのカードが沢山貼られてた。もう正直もうここまででいいやって気持ちになりましたけど、昔の私ならきっと諦めなかったと思い切って店員さんにフェニックスで一番腕の良い職人を教えてくれって聞いて、教えてもらったそのカードをボードから引きちぎってまた車でその場所を目指した。

そしたら謂わゆる町の修理屋さんで、入り口にはCLOSEの看板が下がっている。

静かに町を出た。

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