今から約20年前、LIBERTINEはロサンゼルスのMaxfieldでデビューしました。
当時のロサンゼルスではリサイクルされたファッションがまだ珍しく、ニーナ率いるRHvintageやA LOVE MOVEMENTなど、表舞台では決して見ることのないアプローチ(今思えば相当思い切ってたと思う)で洋服製作をするインディーズのアーティストがとにかく目立った時代。
LIBERTINEは中でも確実に異質でした。エコなことをしているのに他の皆んなのように世界観にハッピーテイストが無かったというか。
LIBERTINE(リバティーン)とはジョンソンとシンディのデュオで、彼氏のジョンソンがスリフトで見つけてきた古いドレッシーな服の襟や裾を切り刻み、彼女のシンディがシリアスでゴシックな絵を描きそれをシルクスクリーンにして、そのシャツの上に乱暴に手刷りでプリントするというブランド。そのコレクションは当時世界でも取り扱いが少ないのとちょーー高かったので持っている人はほんとセレブしかいなかったはず。
HugE 2003年11月号より ※リバティーンオフィシャルサイトより転載
今見ても素敵。ちょっとでも突いたら破裂してしまいそうな危うさがもう。
初期のコレクション発表時 ※リバティーンオフィシャルサイトより転載
このランウェイでは全てのアイテムが一点物となるため、ショー終了後バックステージでその場でバイヤーに売っていたという。
当時は当然私なんてガキンチョだったわけですから、指咥えながら雑誌ですげーって眺めるだけだったわけです。だからか未だに思い入れというか、というか「思い出補正」?みたいなものがずっと続いていて、永遠に最強のブランドなんです、私の中で。
ただその数年後にシンディと別れてしまうんですね。そこからスタイルの変化と、あとは時代の移り変わりによりすっかり姿を見なくなりました。
近年はとにかくポップな路線に定着し、日本では全く見なくなりましたが海外ではやっぱりファンは多いようです。
私はこれまで何度かあの危ういデュオ時代の初期感をコンセプトに、当時のシルクスクリーンの版を引っ張り出してきてもらって古着のコートやシャツの上にプリントし復刻したことがあります。しかしやっぱり彼はアーティストなのでそういうことにはかなり消極的でした。
そういうこともあったので、シンディーを秘密で自力で探し出してNYまで会いに行ったこともありました。あの頃の伝説をもう一度プリーズみたいな。でもドラッグなのかアルコールなのか、まともではなくて仕事にならなかったという。
前置きが長くなりました。で、先日ロサンゼルスのスタジオを久しぶりに訪れたら、なんと「ビンテージコレクション」という新しいラインで初期テイストの服を作り始めていたんですよ。maxfieldではすごく人気みたいで常にリオーダーがあると言っていました。それでその場に出来立てのシャツが7枚あって、いずれもmaxfieldに納品する分でしたが、せっかく来てくれたんだしってことで売ってもらえたんです。
当時と変わらない、当時にしてはデカ過ぎたはずのビンテージのシャツに、ゴッスゴスのシルクスクリーンプリント。裾は切り刻まれ、糸が噴出している。
これは通称「ゴースト」。うっすら背後に見えるのがかっこいいですけど、実はただ裏からプリントしているだけという。その純粋さも初期さながら。
というかよくやりましたよね。あれだけもう一度これをやることに消極的だったのに。何かが吹っ切らせたのでしょう。そしてサイクル的にもまたメイド・イン・ロサンゼルスが面白くなってもおかしくはないですから、タイミングとしてもバッチリだなと。
しかしですね、いくら今アメリカではこれからを強く感じる洋服に見えたとしてもですね、これを今日本で誰が喜んで買ってくれるんだろう、と思ったわけですよ。成田着いてすぐに。
それくらい、日本で見るとまともじゃないシャツ。
こちらも22日より。
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