過去にヨウジヤマモトでニットを担当していた依田聖彦氏が2017年よりスタートさせた、完全受注生産のニットブランド「NAHYAT(ナヤット)」をご存知でしょうか。年に一度展示会を開催し、決してバリエーション豊かとは言えないがその年々の依田氏のテンションが凝縮されたラインナップを顧客に見てもらい、着てもらい、気に入ったら注文、そしてお届けはその年の秋。セレクトショップへの卸し売りはやらない。というシンプルなスタンスで活動を続けています。
この度NAHYATとWolf&Wolffでカシミアセーターとカシミアパンツの「セットアップ」を作ってみました。コンセプトはロサンゼルスの「Malibu(マリブ)」です。それも2000年頃の最もL.Aが輝いていた頃の、イケてる人々のあの日常着。あのどこまでもラフなバランスが2020年代になりまた返り咲いているように感じませんか?かつてはサングラスだったものが眼鏡になり、サンダルだったものがナイキになり、バーキンだったものがマルゴーになり、ミサンガだったものが時計になり。そして洋服に関してはロゴや主張の無い、首下から足首までベターっとペンキで描いたような暗めなワンカラー。非常に分かりずらい例えかもしれませんが、こういったユニフォームのような、キャンバスのような、「徹底的に引き立たせ役にまわる洋服」というのも非常に今らしいファッションの在り方だなと私は感じているのです。
ということでNAHYAT×Wolf&Wolff「カシミアセットアップ」の受注会を7月1日(土)〜7月9日(日)で開催することが決まりました。場所は弊社丸の内ショールーム(11am〜6pm)となりますので、来場をご希望の方はメールにて日時をお知らせください。
今回の企画はロサンゼルスのマリブがテーマです。「ああいう人たちがパパラッチされた時に着ているスウェット上下のイメージ」と最初の打ち合わせの時に話して依田さんを混乱させたのが始まりでした。NAHYATはどちらかというとモードでヨーロッパで、物作りに真摯に取り組んでいる印象があるので、このテーマははっきり言ってお門違いもいいところと言いますか。しかし私は見ている視点が全く逆だからこそ協力し合うと楽しいものが生まれるとも思うんですね。



最初の擦り合わせから編み地チェック、サンプル出しと数ヶ月に渡り打ち合わせを重ね完成したこのスウェットセットアップですが、やはり一歩でも何かを間違えるとパジャマになりやすいんですね。そして違うとこを踏んでもドメスティックカラーが強く出てしまったり、抜けすぎてもジェームスパースにしかならない、という、中々私たちが想像する塩梅のあるカリフォルニアな印象を出すのに苦労しました。
さらに一つ大きな問題があって、それはサイズ展開についてでした。当初2サイズでいく予定でしたが、想定している生産枚数の都合上ワンサイズでしか無理だろうと途中で言われてしまったんですね。でもこういうピンチの時にこそ何かは降ってくるものです。僕が以前に「裾がラウンドしていても可愛いと思う」って言っていたのがヒントになって、依田さんがサイドにロープをつけたんです。そのロープを引くことにより着丈が吊られラウンドを描きながら短くなる仕組みを考えてくれたんですね。これぞ創意工夫という感じでやっぱり依田さんは頭が良い人だなって思いました。


生地の厚みも拘りがあって、セーターほどではなく、かと言ってロングTシャツほど薄くもないというどっちつかずな肉感になります。そしてトップスの首周りはTシャツ風で、袖はちゃんとリブになっていて、裾はくるんとロールする仕様で、みたいな、セーターやTシャツのルールみたいなものをミックスさせているのもやはりどっちつかずな印象を持たせるためでした。


ややダラっとしたカリフォルニアフィットのトップスに、コンパクトなカシミアパンツ。終わり。これです。これがもう冬の制服で良いんです私は。そしてここからが本番。愛してやまない時計であったり、今にも壊れそうなボロボロのスニーカーであったり、派手なアウターであったり。要は、今本当に好きな物を思う存分に持ち歩こうと思うわけです。でもちゃんとわきまえていますよ、と。そういうバランスみたいなことも含め今らしい提案だなと思っています。
トップスのサイズは身幅67cm、肩幅50cm、着丈74cm(ロープの調整がない場合)、袖丈63cm。パンツはウエスト40cm(ゴム付き紐付きなので自由自在)、股上40cm、股下63cmになります。
また、こちらはセットの販売になりますのでご了承ください。お値段は18万円(+消費税)です。メールでの注文も受け付けています。ご希望の方はお名前、発送先住所、お電話番号、カラーをお知らせください。お届けは10月末〜11月半頃を予定しております。それでは7月1日(土)より皆様のご来場を心よりお待ちしております。