



最近、昔ながらのコレクターと会ったりビンテージのイベントに参加したり、なんだか熱いです。以前から伝えていますように、この10年で時計業界もそしてコレクターの価値観も変化し続けているわけですが、こうして「これぞビンテージの真髄」と言いたくなるような主に1950年代〜1960年代のロレックスで、しかも時代を代表するようなダイヤル仕様を持った個体の数々が集結するといった光景は今や珍しくなった感じがしますね。今回は数ある個体の中から私の好みだった時計をいくつか掲載します。
まずは初代エクスプローラーとデイトジャスト(写真2枚目)。しかも共にギョウシェダイヤル。こういう個体はもう世界を見渡しても表立った売り物は無いですよね。全くありません。このオーナーさんのコレクションの動向を見ていても、これがつまりは収まるところに収まってしまったということなのかなと。マットでもなく、それ以前のミラーでもない、よりアンティーク感の強いこのテクスチャーはやはり一つの到達点でしょうか。50年代を語る上では文化財的な2本。
これも凄いことになっています(写真3枚目)。手巻きデイトナと一括りに言ってもその歴史は長く、多くのバリエーションが存在します。この日は珍しいブラックのプレデイトナやポール・ニューマンを含む数々のデイトナに触れることができました。昨日「watches & wonders 2023」にて新型のデイトナが発表されましたが、ROLEXがこの歴史という名のレールを伸ばしてくれているからこそ、「初期型」という価値にまた箔がつくのでしょう。ちなみに、このような大げさな本数を腕に巻いたショットはビンテージの集いでは珍しくありませんが、この日参加していたHODINKEE(ホディンキー)のメンバー曰く「これを現行系のオフ会で許可なくやったら殺される」とのこと。それは置き方一つでも同様で、要はケースに傷が入る可能性のある行為は御法度ということらしい。それにしてもこの数のデイトナが集まりながらも交換パーツを装備した個体が一つも無いというのはちょっと恐ろしいですね。
最後は金無垢でユニークなものを(写真3枚目)。左は私の大好きなサンダーバード、しかも最初期型ですね。これはこの格子状のベゼルがとにかく珍しいですし、第二世代以降ではおそらくマッチしない赤文字でデイトジャストと表記されたダイヤルがセットされていることから一目で初代と分かるのが素晴らしいです。ややピンク色に経年変化した表情も味わい深い。そして右側はデイデイト。よく見るとシングルスイスでベゼルも溝が細かいことから、もしかしたらRef1803以前のリファレンスかもしれませんね。曜日のカレンダーは通常英語で、珍しいものになると稀にアラビア語なんてものもありますがこれはマニアックな日本語表記。デイデイトは昔から好きでミラーからステラから色々持っていましたが、結局はこの個体のようなイエローケースにシャンパンダイヤルの組み合わせが一番「らしい」のかなと最近思うようになりました。以上、ダイジェストでした。
毎度思うことですが、人の芝生は青く見えるから困ります。
2023年3月28日