ROLEX 5500 boy‘s EXPLORER

An incredibly attractive ROLEX OYSTER PERPETUAL reference 5500 with a stunning black gilt dial in mint condition from circa 1966.

SHARE


現在主流であるウォッチメイカーから発表されるモデルのケースサイズ大型化問題は、着用時のバランスだけで考えると殆どの日本人には難しいものとなりました。そして2010年代後半から続くモダンウォッチに取り入れられた煌びやかでファッショナブルなデザインに対する脚光も確実にピークアウトを迎えた今、この通称「反社期」の反動もあってかクラシックで堅実なモデルにじわじわと人気が移行してきていることが感じられます。

先日、今最も注目を集めるメイカーのひとつ「KURONO TOKYO(クロノ・トウキョウ)」が新型を発表しました。それは往年のオーセンティックなデザインの文字盤に34ミリのケース径。ローンチ時の見出しには「なぜ34ミリなのか」と大きく書かれていたのが印象的でした。そうです、とにかく、今このサイズ感が再評価され始めているのです。

今回ご紹介しますのは、通常エアキングダイヤルが搭載されるリファレンスである5500。しかし稀に存在するエクスプローラーダイヤルバージョンの通称「Boy‘s EXPLORER(ボーイズ・エクスプローラー)」をご存知でしょうか?どのような経緯でこのタイプが生産されることになったのかは未だ不明ですが、一説によると「イギリス限定発売」であったと言われています。これは私も賛成で、以前から出てくるとしたら確かにイギリスが多かった気がしますし、実際にロンドンの時計屋で過去に2本買ったことがあります。

本来ビンテージエクスプローラーのリファレンスといえば1016。サイズ径は36ミリ。それがこの5500の34ミリケースに入るとなると当然ダイヤルも小振りになります。お詳しい方なら分かるように、腕時計の世界では1ミリの差でも印象が大きく変わります。ですので同じ369が特徴的なエクスプローラーを2本並べても、そして着用することでさらにその大きな違いを感じていただけるでしょう。

こちら年式は1966年。厳密に言えばダイヤルパターンがいくつかあるのですが、これは所謂「最終ミラー」と呼ばれる比較的綺麗なコンディションを維持しやすいスタンダードなダイヤルに属します。しかしここまで綺麗なボーイズを見たことがありますか?その人気故、過去には大量にリダンダイヤルが作られたことがありました。歴としたオリジナルは実際は数がありません。そしてここまでの状態の個体となると基本的には見つかることはありません。

今年2023年はエクスプローラー生誕70周年です。1953年から大きく変わることのないこのアイコニックな369ダイヤルの中でも特別なサイズ径を持つこちらのボーイズを、しかもコレクターズコンディションで。お探しの方は是非お問い合わせください。


ボーイズエクスプローラー。昔から人気がありますね。しかし基本的に目にするボーイズの殆どはリダン物なので注意が必要とされています。オリジナルは当然ミラーで(一部マットもある)、プリントではなく地金出しの彫り込み仕様。

ミラーの質感は瑞々しく、傷等のダメージというダメージは見当たりません。そしてそれ以上に劣化具合が気になるのが夜光。通常の1016ミラーと比べ、ダイヤル径が小さい分、369やバーインデックスの夜光面積も狭くなるんですね。それがけっこうボソボソしがちで、部分的に欠落しやすいのです。本個体はそこも完璧。

ちょっと凄すぎませんか。このようなコレクターズコンディションとなると当然お値段も高くはなるのですがそれでも世界的にニーズがありますよね。突き抜けてる個体は世界中からオファーが来るというのが持論です。

ですがごめんなさい、針は夜光いじっています、私の方で。これは賛否あると思うのですが、個人的には、ダイヤルがあまりにも綺麗でしかし針の経年感が強い場合は、例えオリジナル夜光であったとしても綺麗に合わせにいった方が満足度が高いように思うのです。針の夜光に限っては個体のオリジナリティの価値を左右させる対象ではないため、もうだいぶ以前から私はそうしてきました。

いかがでしょうか。一括りにエクスプローラーと言っても70年もの間生産され続けているので様々な仕様が存在します。この70年間に大胆に区切りをつけるとしたら「ミラー期」「マット期」「5桁期」「現行期」と4つに分類されると思います。どれもそれぞれに魅力や特徴があるのですが、昔ながらのコレクター目線としてはこれぞビンテージの王様と呼びたくなるのがこのミラー期でしょうか。その時代のものは完璧な個体が少ない分「簡単には手に入らない」というハードルの高さが熱くさせる理由なのですが、結局のところ、結論としては「基本的にデザインは何も変わりません」という今日まで続くROLEXの強固なデザインスタンスあっての価値なのかなと私は思います。古くさせない、そしてスペシャルでい続けられるのはその当時のデザインが秀悦だったからではなく、この瞬間も作り続けているから、なのでしょうね。